1  鶴 来

道の駅 しらやまさん

「しらやまさん」全景 道の駅というのが全国の道路にありますが、加賀路では国道157号線の「しらやまさん」ひとつだけです。場所は、鶴来の手取川沿いで、白山比盗_社(しらやまひめじんじゃ)のちょうど対岸です。名前を「しらやまさん」としたのもそのためでしょう。
 ここにある施設は、休憩所、トイレ、和風レストランとそれに付属したような小さな売店、これだけです。よその道の駅と比べても、備わっているべき必要最低限のものしかないという感じです。しかし、なかなか考えた場所に作ってあって、これから白山麓に行こうという人に、この先はどうなっているのかという情報を提供する位置としては最適です。
 それに、手取川というのは下流は広大な扇状地を作っていて川の両岸は真っ平らなだけですが、ちょうどこの辺りから先の上流は変化のある景色になっていくので、ちょっと一休みして景色を楽しみたいという人には、もってこいの場所です。もってこいの場所ではもってこいのことをするに限ります。建物の横に河原に降りられるように階段が付いているので、そこから対岸を眺めます。

展望室から 目の前は手取川の流れです。左寄りのところに阿久濤ヶ淵(あくどがふち)と呼ばれている流れが澱んだところがあります。その上は古宮公園というちいさな公園で、昔は白山比盗_社がここにあったといいます。春は桜がきれいに咲きます。その向こうの低い山は「白山青年の家」や「ふれあい昆虫館」がある舟岡山です。更にその後は獅子吼(ししく)高原で、ゴンドラが上下しているのが見え、晴れた日には色とりどりのパラグライダーがふわふわと飛んでいます。遠景右手は白山へと連なる峰々で、冬は雪景色がきれいです。この風景は二階の展望室からもゆっくりと見ることができます。
 もう少し足を延ばしてみます。道の駅のすぐ横に和佐谷橋という鉄橋があり、歩いて向こう側の古宮公園に渡ることができます。この橋は車が通れませんし、ちょっと長い橋ですから、渡りながら下を流れる手取川と対岸の景色をゆっくりと楽しむことができます。橋を渡り終えたら滅多に電車の来ないローカル鉄道の踏切です。踏切を渡り古宮公園の横を通って道路へ出ると、右へ行けば白山比盗_社の表参道へ続く道で、左は波切不動の前を通って鶴来の町へ入る道です。

 道の駅というのは、基本的にはドライバーが休憩したり、道路やその地域の情報を得たりする場ですが、人気のある道の駅というのは、その地方の物産即売場のような感じで店がたくさん出ていたり、建物そのものが凝った造りだったりします。「しらやまさん」は建物も質素で、最低限の機能を備えているだけの道の駅です。詰まらぬといえば、詰まらぬ感じです。でも、せっかく景色の良いところに作ったのなら、余計なところに気が行かずに周りの自然を楽しむことのできる、こういう道の駅も良いのではないかと思います。(平成12年2月18日 メキラ・シンエモン)


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