金剣宮

３　　鶴　来

金剣宮

　白山比咩神社から少し離れたところ、町を見下ろす位置に金剣宮（きんけんぐう）という神社があります。ここは鶴来の人のほかは詣でる人もいないようですが、社殿はなかなか立派で、創立は崇神天皇（すじんてんのう）の三年三月といいますから、白山比咩神社よりちょっとだけ歴史が古い神社で、白山比咩神社などと共に白山本宮四社と呼ばれていたそうです。しかも、昔は剣神社といったそうですから、元々は剣と書いたという鶴来の地名と一致していたことになります。

　ぼくが行ったのはまだ松の内が明けぬ頃だったのですが､境内に人影は無くひっそりとしていて、雪囲いのしてある社殿は人を拒んでいるようにも見えました。境内にはほかにもいくつかの社殿があって、その中の一つに商売繁盛家内安全なんて書いた大きな将棋の駒が置いてあります。何だろうと思ったら､恵比寿神社の社殿でした。また、義経が腰を下ろした石というのがあったりして、どこかいわく有りげな神社です。金剣宮そのものは尚武健康の神様ということです。
　主神はニニギノミコトです。その他にオオクニヌシノカミ、コトシロヌシノカミ、サルタビコノカミなど五柱の神様が併せ祀られています。ニニギノミコトという神様は天照大神の孫で、高天原から地上を治めるために降りてきた神様ですが、オオクニヌシノカミ（オオクニヌシノミコト）やコトシロヌシノカミは、ニニギノミコトの降臨に際して征服されてしまった神様です。ひとつの神社に複数の神様を併せ祀るというのはごく普通のことなのでしょうが、金剣宮の神様方、この組み合わせで一緒に祀られて、お互いに居心地は悪くないのかな、と思ってしまいます｡

　神社の前の道路にはちょうど拝殿の正面のところに地下道が付いています。何だろうと思って潜ってみると石段につながっています。それで､ここが金剣宮の参道だと分かります。更に石段を降りると途中に小さな祠があってその横に滝があります。水は、どうも上の道路の地下を通って神社から流れてきているようだ、と思ったら、案内板に金剣宮不動滝とあります。横の祠はお不動さんでした。ただし、扉に鍵がかかっていて中は見られません。滝の方は小型ながらなかなかスタイルのよい滝です。屋根のついた東屋風の休憩所がきれいに作ってあって、そこに腰を下ろして滝の音を聞くというのはちょっとした風情です。
　石段を下りきると鶴来温泉です。どうも旅館は２軒だけらしく「寅さん」がひょっこり出てきそうな感じの温泉街です。（平成12年3月3日　メキラ・シンエモン）

　ホーム　目次　前のページ　次のページ

　白山七社詣　本宮四社に戻る

　ご意見ご感想などをお聞かせください。メールはこちらへお寄せください。お待ちしています。