15  樹木公園

樹木公園の草花

 10月になると、だれも手入れをしていない地面、即ち、荒地や川の土手、休耕田や放置されたままの住宅用地は言うに及ばず、鉄道の線路脇、高速道路の高架下から駐車場の隅にまで、街中でも郊外でも空地と見れば、ところかまわず高く背を伸ばすセイタカアワダチソウという草が、遠くから見ると先端の葉が色付いているのではないかと思うような黄色い花を、我が物顔に咲かせます。
 それがきれいだと言う人もいますが、あの花は花粉症の人には大敵で、気管支喘息の人には親の仇みたいなものなんです。他の植物にとっても嫌な奴らしく、それ以上近寄るなと言わんばかりに根からエステルを分泌して阻害するそうです。
 鶴来にある樹木公園にはそれがひとつも生えていません。すぐ隣の空き地には生えているので、これは偶然ではないだろうと思います。

 樹木公園だからといって木ばかり見ていてもつまらないことです。たくさんの草花が大きな木の下に小さな花を咲かせています。春から夏にかけてが特に多いのは勿論ですが、秋になって枯葉が散るようになっても見られます。それら林床の可憐な花々がなければ、目に映るのは随分と寂しい風景になるだろうと思います。
 どんなものが見られるかというと、思いつくままに挙げると、ヤマエンゴサク、オウレン、トキワハゼ、スミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ムラサキサギゴケ、カタクリ、ヤチマタイカリソウ、ハナニガナ、コオゾリナ、コナスビ、ナズナ、ウマノアシガタ、キツネノボタン、ウリクサ、イチリンソウ、ニリンソウ、キクザキイチゲ、クリンソウ、トウバナ、ヤブタビラコ、ハコベ、ミミナグサ、ミズヒキ、ハナタデ、ゲンノショウコ、ツリフネソウ、セキヤノアキチョウジ、ミゾソバ、キツネノマゴ、ヒガンバナ、オニタビラコ、ヤブラン、ツルボ、ヤクシソウ、ツユクサなどです。他にも名前の分からないものがたくさんあります。

 そんな草花の中から、ちょっとだけ写真で紹介します。

ヤマエンゴサク 4月 カタクリ 4月 ムラサキサギゴケ 4〜5月
ウマノアシガタ 4〜5月 ゲンノショウコ 8〜10月 キツネノマゴ 9〜10月
ツリフネソウ 9〜10月 セキヤノアキチョウジ 9〜10月 ミゾソバ 9〜10月

 花の見られる場所は、ヤマエンゴサク、カタクリは杉林の中などに咲いています。ムラサキサギゴケ、ウマノアシガタ、ゲンノショウコ、キツネノマゴ、コナスビは園内の道沿いによく咲いています。ツリフネソウとセキヤノアキチョウジは花菖蒲園の下の小さな流れに沿うようにして群生しています。ミゾソバも園内の湿ったところに群生しています。(平成12年10月28日 メキラ・シンエモン)


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