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再開にあたって

 最後に載せた「白山麓の虚空蔵」から12年です。そこに登場した高校の先生も今は定年退職されて悠々自適の生活を送っておられます。その先生から、近頃ブログを始めたと連絡をもらいました。覗いてみると、専門分野である地理学と民俗学に関することを自由奔放に書いておられました。そのどこか浮世離れしたスタイルに刺激を受け、あれ以来更新しないままにしてある「通りがかりの者です」を再開しようかと思い立ちました。

 「通りがかりの者です」の開設は平成12年でWindows98のころでした。当時パソコンの普及率は30%に満たなかったように思います。個人のHPは日記みたいなものが多く、インターネットはゴミ箱と言われていました。情報として利用価値のあるものは少なかったようで、白山信仰や即身仏、恐竜などで検索すれば、「通りがかりの者です」が真っ先にヒットするといった様子でした。
 それだからでしょう読まれた方から毎週のようにメールがきました。多かったのは白山信仰に関するもので、質問のほかに、祖父から聞いた話が本当だったとわかったという青年や、白山をこよなく愛しているという女性など様々な方からもらいました。岐阜県にある白山神社の神主さんからメールが届いたこともありました。
 こんなこともありました。サン・テグジュペリのことを書いたページに、市販のプラモデルキットを改造して作ったサン・テグジュペリが行方不明になったときの乗機の模型の写真とその解説を載せておいたら、自分も作りたいから作り方を教えて欲しいという方が現れました。得意の分野でもあり、喜んで返事しました。
 意外なところからもメールが来ました。愛知万博のイベントを企画している方からのメールは、テーマとして恐竜を選びたいが万博会場周辺ではどんな恐竜化石が出ているのか教えて欲しいというものでした。白山市桑島(旧白峰村)の「恐竜化石壁」のことを書いた記事が目に留まったようでした。どうしたものかと戸惑ったことを覚えています。それでも自分なりに精いっぱいの返事をしたら、丁寧にお礼の言葉をいただき、おおいに恐縮するとともに、古生物学や地質学の専門家でもないくせに、素人があまり気楽に書くもんじゃないなと思ったものでした。今はもうこんなメールがくることはありません。


古くからの友人と、たまたまご覧になられたみなさまへ
                               メキラ・シンエモン


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