参 考

エサウとヤコブ

 エサウヤコブの兄弟の話は、旧約聖書創世記、第11章から第36章までのアブラハム三代について書かれている部分の後半になります。

 アブラハムは箱舟で知られるノアの直系の子孫ですが、ある時、神からカナン(現在のパレスチナ)の地を与えられ、妻サラと移住します。サラは自分に子供が出来ないので侍女ハガルを夫の元に送って子供を産ませます。これが長男で、イシマエルといいます。
 ところが皮肉なことに、その後まもなくサラに男の子が産まれます。次男のイサクです。サラはハガル、イシマエルの母子を追放し、弟のイサクがアブラハムの後を継ぎます。ちなみにイシマエルはアラブ人の祖先となります。

 成人したイサクはリベカという娘を娶ります。リベカは長男エサウ、次男ヤコブという双子を産みます。イサクはエサウを好み、リベカはヤコブを愛します。
 時が経って、老いたイサクは長男のエサウを後継者にと考えますが、リベカはヤコブに後を継がせたいと思います。そこでリベカは一計を案じて、目が見えなくなっているイサクのところにヤコブを遣ってエサウのように見せかけ、イサクをまんまと騙してヤコブを後継ぎにすることに成功します。
 それを知り怒ったエサウヤコブを殺そうとします。そこで、リベカはヤコブを自分の兄ラバンのところへ逃します。
 ヤコブの伯父ラバンに二人の娘があり、姉レアは目が弱く、妹ラケルは美人でした。ヤコブが井戸のところにいると、ラケルが父の羊に水を飲ませにやってきます。ヤコブはその羊に水を飲ませて、自分がラバンの甥であると告げます。ラバンは、いくら甥でもただ働きはしなくてよい、報酬を与える、と言います。そこで、ヤコブがラケルと結婚したいと言うと、ラバンは7年間働くことを条件に承知します。ヤコブは7年間働いたあと、約束通りラケルと一緒になることを許されます。
 ところが、初夜が明けてみると横にいたのは姉のレアでした。ヤコブがラバンに訳をただすと、ラバンは、姉の方が先に嫁に行く習慣だから妹を欲しければ、まず姉を妻にしろ、と言います。ヤコブはそれに従います。
 約束の期間、伯父の下で苦難に耐え、多くの財産を作ったヤコブは、家族と共に元の家に帰ることにします。ところが、帰る途中にある出来事があり、ヤコブは「ひとりの人」からイスラエルという名を与えられます。こうしてヤコブは21年間ぶりに生まれた家に帰ってきます。
 しかし、家にはヤコブを怨む兄のエサウが待ち構えています。そこでヤコブは財産の一部を捧げて兄を称えるという従順な態度を装い、エサウの怨念を解きます。更に、ヤコブは神から祝福を受け、神がアブラハム、イサクに与えた地を継承することになります。

 この後、神は自らを゛アブラハム、イサク、ヤコブの神゛と名乗るようになり、このヤコブの直系から後に、ダビデ、ソロモン、モーセ、イエスが出ることになります。(メキラ・シンエモン)
 


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