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擬態ということ イノコズチカメノコハムシ

 イノコズチカメノコハムシという奇妙な名前の昆虫は姿もまた奇妙です。テントウムシに大きさも形も似ていて林縁の草の上にいる小さな甲虫ですがその甲はコハクかベッコウで作った小さなお皿を伏せたようです。それが自分のものを失くしてどこかから借りてきたかと思うほどのオーバーサイズで六本の足をすべてその下に覆い隠してしまうくらいです。葉っぱの上ではどちらかと言えば目立つ姿ですが小さいしテントウムシのようにむやみに動き回るということをしないでじっとしているからちょっと見は虫食いの痕か虫こぶにしか見えずだれもそこに虫がいるとは気がつかないでしょう。暫く見ていると向こうもこっちに気が付いたのか葉の裏に逃げ込みましたがその動きは素早いものでした。

イノコヅチカメノコハムシ 2024年8月6日 野田山 木はマユミ

 少し前のアカスジカメムシの記事で目立つとか目立たないとかいうことを書きました。それは擬態のことでしたが周囲に溶け込み見つからないようにしたり何かに似せた姿になったりして相手を騙すのが擬態です。相手に見つからないようにするというのは捕食される側にはもちろん捕食する側にも重要で自然界はとにかく見つからない術が必修課目であり生き残るための必須の条件になっています。たとえば体を葉っぱに似せるというとき、形や色といった見え方だけではない虫食いの痕まで再現します。枯葉ならあたかも絵具で描いたかのように色の濃淡で陰影をつけて葉のまるまっている様子まで表現しています。虫は人が思うよりずっと理論的で優れた感性を持つ芸術家です。
 ぼくは虫を見つけるときこの虫と決めて探したりはしません。いやそもそも探してはいないのです。木や草をなんとなく見ていて、あれっちょっと変だ、という具合に偶然のように見つけます。そこだけ色がちがう形がちがうなどどこか不自然だから見つけられます。木についた傷や外皮のめくれ、枯葉、鳥の糞や虫食いの痕はもっともあやしいのです。
 ぼくは人間の目で虫を見つけますが虫には虫の目があって感度もちがえば見えている電磁波の波長もちがいます。そして鳥には鳥の目がありほかの動物にもそれぞれの目があってかれらはぼくらとはちがった目で虫を見つけていますがそれはぼくらより効率的にちがいありません。隠れている虫を見つけるのはぼくらにとって簡単ではありませんがだからおもしろいとも言えます。対象が虫でなくても隠れているあるいは隠してあるものを見つけたがるのは真理を求めるための好奇心で生きている人間にとって本能でしょうね。
 前回はカメムシの赤ちゃんでしたが今回の写真は近ごろウォーキング途中に見かけたカメムシの成虫と珍しいと思った甲虫たちです。正体不明の者もいます。

カスミガメ類 2023年8月13日 野田山 花は萩 アカヒメヘリカメムシ 2023年12月31日 自室の窓ガラス
ホソヘリカメムシ 2024年2月14日 女房の自転車に掛けた毛布の上 ハリカメムシ 2024日5月25日 野田山
ビロードサシガメ 2024年6月10日 野田山 ムラサキナガカメムシ 2024年6月26日 獅子吼高原 ズボンに飛んできた
ツマジロカメムシ 2024月6月26日 鶴来の獅子吼高原 ナガメ 2024年7月2日 野田山麓の長坂 花はマーガレット
ヒメナガカメムシ 2024年7月31日 長坂 花はマーガレット ヒメジュウジナガカメムシ 2024年7月3日 長坂 花はマーガレット
オオツノカメムシ 2024年7月6日 野田山 木はケンポナシ メダカナガカメムシ 2024年7月14日 野田山 花はヒメジオン
ホシハラビロヘリカメムシ 2024年7月25日 野田山 マルカメムシ 2024年8月4日 野田山 葛の葉
コブハムシ類 2024年7月16日 野田山 葛の葉 カツオゾウムシ 2004年6月3日 野田山
コフキゾウムシ 2024年7月15日 野田山 葛の葉 ミヤマカミキリ 2024年7月5日 野田山 木は桜
ムネアカセンチコガネ 2024年5月27日 遊歩道のトイレ オバボタル 2024年6月26日 獅子吼高原 幼虫だけが光る蛍
トゲヒゲトラカミキリ 2024年6月26日 獅子吼高原 ヨツボシハムシ 2024年8月6日 野田山
不明 2024年8月9日 野田山 草の種かと思ったら虫だった 脱皮中のオオツノカメムシ 2024年8月9日 お尻がまだ残っている
不明なカメムシ 2024年8月9日 野田山 木はケンポナシ 大きなアリのようだが口吻があるのでカメムシの幼虫だと思う

 おととい女房が鶴来にある「よらんかい」というJAのスーパーへ友達と買い物に行ってオニヤンマのおもちゃを持って帰って来ました。そして、これをつり下げておくと蚊が寄って来ないんだって、○○さんが買ってくれた、トンボは蚊を捕まえて食べるんでしょう、と言います。まあ食べるのかもしれませんがトンボのおもちゃは動かずじっとしているんだからほんとに蚊がこんなものに騙されるのかな。 2024年8月9日とらもとしんいち(メキラ・シンエモン)

写真:とらもとしんいち




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