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庭のリンゴにルリカミキリが棲みつきました

 金沢は梅雨に入っても去年と同じで梅雨らしい雨の降り方にならず暑い日が続いています。しとしとと雨が降る昔の梅雨はどこへ行ったんでしょう。この暑さのせいでしょうか雨の降り方のせいでしょうか野田山ではヒヨドリジョウゴ季節を勘違いしたみたいでまだ6月だというのにもう花を咲かせました。正しくは8月から9月にかけて咲く花です。暑くて雨が降らないと心配になるのはぼくの好きな紫陽花の花で、その名所にもなっている野田山では去年はまだちゃんと咲きそろわないうちに7月中にはもう枯れていましたが今年もちょっと危なくなってきています。紫陽花はうちの庭にも植えてあります。去年の秋にキジバトが巣を架け子育てした松のある前庭にはガクアジサイが主庭にはガクアジサイとカシワバアジサイがあって背戸にもガクアジサイが植えてあります。我家の紫陽花たちは女房が庭に作っている小さな畑に水を撒くついでに一緒に水をやっているから枯れる心配はありませんが暑い日中はガクが大きい背戸のガクアジサイは萎れて下を向いてしまいます。そんなこの暑さの中、庭を飛び回っている虫がいます。ルリカミキリというカミキリムシです。二匹いてそれがどうも庭のリンゴの木に棲みついているみたいなんです。

ヒヨドリジョウゴ 2023年6月24日 金沢市郊外 野田山



リンゴの木
 庭にリンゴの木があるなんてどんな庭かって、ごく普通の庭です。種明かしすると、リンゴの木は農業をやっている知り合いが余った苗木を数年前に持ってきたもので、ぼくはいらないと言ったのに女房がもらってしまったんです。昔は泣く子と地頭には勝てない、今は泣く子と女房には勝てない。国際結婚のうちは、いや国際結婚は関係ないか、うちはそれでうまくいっています。そんなことはともかく、だからリンゴの木といっても大人の背丈を少し超える程度の小さな細い木で添え木に支えられて立っています。それでも4月になると一人前に白い花を咲かせ実を結びます。特になにもしないでほったらかしだからかまだ若いからか実は食べられるほどには大きくなりません。いつか木が大きくなって困るほどになったら切ればいいと女房は言っています。花がきれいですし今のところ切るつもりはありません。

庭のリンゴ 花 2022年4月15日  実 2022年5月21日

枝に傷
 このリンゴの木の枝になにかにかじられたような痕というか傷がいくつもあるのがわかったのは半月ほど前でした。傷は5か所でどれもひどくて皮が大きく裂けて中はもうボロボロで木の繊維は糸くずのようになって垂れ下がっています。なんだろう、虫の仕業かそれとも鳥かいややっぱり虫だろう、でもいつからこうなっていたのか・・・、去年まではなかった傷でした。

リンゴの枝の傷 2023年6月24日

 その三日ほどあとのことです。葉の裏に小さな甲虫がついているのを見つけました。

リンゴの木の葉の裏に甲虫 葉脈には食べた痕が 2023年6月18日

ルリカミキリ
 それは前翅が金属光沢のある藍色でそれ以外は黒色の目と触角を除いて全身オレンジ一色という1センチほどの小さな虫でした。そうかこいつだな、リンゴの木を傷つけたのは、と思い、でも見たことのない虫だったので図鑑で調べてみたらルリカミキリだと簡単にわかりました。やっぱりリンゴの木の害虫でした。親虫がリンゴの木の枝に産んだ卵から生まれた幼虫はその枝を内側から食べて育ちます。つまり枝の傷はそういうことだったんです。葉にいるのを見つけた成虫はうちのリンゴの木で育ったんでしょう。成虫になると今度は葉脈を食べます。ルリカミキリは生涯リンゴの害虫。

リンゴの木の枝にいるルリカミキリ 2023年6月24日

つがい
 次の日もリンゴの木を覗くときのうと同じようにルリカミキリが葉にいました。きのうと同じ個体かどうかはわかりません。模様があるわけじゃないので個体の識別は困難です。じっと見ているとこっちに気付いてびっくりしたのかパッと飛んですぐにほかの葉にとまって、そのとき近くの葉にもう一匹いるのを見つけました。それからほぼ毎日見ていますが、今日はいないな、と思うとブ〜ンと翅音がして目の前を横切って飛んでいきます。ぼくの服や手にとまることもあります。慣れたのかこっちを全然警戒していないみたいです。

左手の小指の先に乗るルリカミキリ 2023年6月29日

 同時に見かけるのは二匹なのでたぶんいるのは二匹です。しかし傷は5か所(傷は全部同じカミキリムシが付けたとは限りませんが)だったので最低五匹の兄弟だったはずですが見えるのはいつも二匹です。この二匹が先にも書いたようにいつも同じ個体だとは言い切れないのですが、しかしこの二匹は、ここが重要なんですが、どうもオスとメスすなわちつがいのようなんです。ちなみにほかにも兄弟たちがいたのならほかはきっとこの二匹に木を譲ってどこかへ行ったんでしょう。鳥に食べられちゃったとは思いたくありません。

垂直に伸びた枝にいるルリカミキリ二匹 2023年6月18日
二匹はオスとメス 2023年6月18日

 ところで女房はリンゴの木の傷を知っているのかというと、気づいていないわけはないと思いますがあまり気にしていないみたいです。特に大事にしている木ではないからか、あるいはカミキリムシがいることを知らないのかもしれません。彼女は庭の草木につく虫を見つければ必ず駆除するからで、青虫を見つけた彼女にぼくが、これはアゲハチョウの幼虫だから殺さないで、と訴えるとちょっと躊躇して、でも葉を全部食べてしまうから、と言って翌日には火ばさみでつまんでポイっとやってしまいます。唯一の例外はアブラムシを食べてくれるナミテントウです。幼虫と蛹を教えてあります。すなわちルリカミキリが何日も無事で葉にいるということはルリカミキリがいることを彼女は知らないということです。当然ながらぼくはカミキリムシがいることを言っていません。カミさんに教えなくてもいのかって、もちろんです、結末がわかっているのに教えるもんですか。

どうする
 二匹はずっといるのでしょうか。いなくなってくれるといいのですがというのは物の本ならぬ物のWEBページによるとルリカミキリのせいで木が枯れることもあるというのです、特に樹齢の若い木は。我家のリンゴの木は偶然うちにやって来てただ植えてあるだけで女房が大きくなりすぎたら切ると言っているくらいだから枯れて惜しい木ではありません。でもだからと枯らしていいということにはなりません。つがいのルリカミキリをこのまま放置しておくときっとリンゴの木に卵を産み付けます。いやもう産んでいるようなんです。枝に卵を産むために噛んだ痕があります。そうなると来年はもっとたくさん出てきます。ただ植えてあるだけみたいな木ですがこのままでは本当に枯れてしまうでしょう。女房もそのうち気付くだろうし、いずれはどうにかしないといけなくなるような気がします、いや必ずそうなります。さあどうする。どうする家康。

枝にはかじった痕が 2023年6月24日



 相手は一所懸命に生きる小さなかわいい虫です。問題を先送りするだけのことになりますが今は様子見です。どっちの。どっちのって、なにが。だからカミキリムシかカミさんかどっちの様子を見るの。そんなこと言わなくてもわかるでしょう。 2023年6月29日 虎本伸一(メキラ・シンエモン)

触角の内側の黒い点は目だそうです つまり目がよっつ 2023年6月19日


その後

7月2日
昼過ぎまで雨となった日、二匹が上下別々の葉の裏で雨宿りです

7月3日
1匹だけいました


7月5日
ルリカミキリの姿はなく上の方の葉にゴマダラカミキリがいました
 まさかこいつに追い出されたんじゃないだろうね








写真:虎本伸一


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